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微生物や細胞のはたらきを知り、その機能を産業的に応用することを目指しています。

コラム

サイエンスの基本は比較

図1のように電池に豆電球が導線で接続されています。この豆電球が光っていない時、皆さんはどんなことを考えますか?

  

フィラメントが切れている、電池が消耗してしまっている、導線が断線している、などと考えると思います。では、このセットを電池や豆電球に関する知識がない昔々の科学者、例えばアルキメデスに見せた場合、彼はどのように考えるでしょうか。中に何かが入ったガラス玉があり、円筒形の金属があり、ヒモのようなもので結ばれている、などと観察するでしょうが、彼は決してガラス玉が光らないことを疑問に思うことはできません。
 では、図2のように豆電球が光っているセットと、光っていないセットを見せた時はどうでしょうか。彼は一方の豆電球が光っていないことに気づき、なぜ光らないのか、と疑問を持つことができます。

  

 皆さんは、既に電池と豆電球に関する知識を持っているので、光っていないセットだけ見ても、それを疑問に思うことができます。しかし、その知識を持っていなくても、比較する対象があれば、豆電球が光らないことに疑問を持つことができます。アルキメデスが図1の状況に出会ったときと同様に、現在の私たちがまだ知らないことに出会った時、比較する対象があれば、その差を認識することができ、その理由を調べることができます。そしてそれは新しい発見や発明につながるでしょう。実は、「比較」は自然科学の最も大切な基本の一つなのです。
 豆球が光らない原因として、フィラメント切れ、電池の消耗、導線の断線の3つが考えられます。どれが原因か調べる時、どのような実験をしますか? 例えば、電球を入れ替えてみて、電球が点くかどうか試してみるでしょう。この時の論理の構成は次のようになっています。
@ 原因は電球(だけ)であると仮定します。
A 電球を入れ替えた時、電球が点けばこの仮定は正しかったことになります。
このとき、@の仮定を作業仮説と言います。自然科学のもう一つの大切な基本は、作業仮説を立て、それが正しいかどうか検証することなのです。
 自然科学の研究の多くは、まず、「比較」によって「差」を見つけ、次に、その差が生じる作業仮説(シナリオ)を考え、そして、その作業仮説を検証する、というプロセスで進めます。「差」を説明できるシナリオは一つとは限りません。また、2つ以上の要因が関係している場合もあります。そこで、どのシナリオが最も妥当なのか、そのシナリオだけで「差」が説明できるのか、あるいは、他に可能なシナリオはないのか、などが議論され、検討されます。
 似たものを見つけ、それらに共通する法則を考え、別のものにもその法則が適用できるかを試す、という作業は皆さんも普段から行っているはずです。この作業は、少し見方を変えれば、「比較して差を見つけ、差を説明する作業仮説を立て、それを検証する」という立派なサイエンスになり、サイエンスするためのとても良いトレーニングになります。



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